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新貝 康司

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新貝 康司(しんがい やすし、1956年1月11日―)は、日本の実業家。元日本たばこ産業株式会社代表取締役副社長 兼 副CEO。[1][2] アサヒグループホールディングス、三菱UFJフィナンシャルグループ、第一生命ホールディングス、AIスタートアップのエクサウィザーズ、オープンエイトの社外取締役[3][4][5][6][7]、VCキャピタルファンド ANRI[8]の顧問などを務める。その他リクルートホールディングスの社外取締役(2014-2018年)を歴任。

来歴

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大阪府出身。[9] 大阪府立北野高等学校を経て、1978年京都大学工学部電子工学科卒業、1980年京都大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了。[10] [11]

1980年4月 日本専売公社(現・日本たばこ産業株式会社)入社。[1]

複数のたばこの工場現場を経験し、製造部門でのキャリアを1987 年まで積んだ後、経営企画部で企業買収案件や多角化事業におけるクロスボーダーでの提携案件に従事。1989年 ニューヨーク事務所長代理、1990年JT America Inc.社長に就任。以後6年にわたり、抗HIV薬Viraceptの開発等、米国製薬・バイオベンチャーとの数々の共同研究開発提携案件を発掘し、提携を推進。1991年から米国NASDAQ上場バイオベンチャー企業のCell Genesys, Inc.社外取締役を兼任。(1997年退任)[7]

1996年JT本社に戻り、経営企画部部長として企業変革プログラム、企業買収プロジェクト(鳥居薬品のリード、旧RJR Internationalへの参画)等、全社経営企画業務を担当。[7]

2001年 財務企画部長、2004年執行役員財務責任者(CFO)、2005年取締役に就任。2006年 たばこ事業の世界本社であるJT International(ジュネーブ)の副社長兼副CEOに就任。

当時日本企業における過去最大の海外企業買収である、2兆2千5百億円[12]ギャラハー社買収と統合を指揮。2008年から2009年9月の間、ギャラハー社統合のためJT InternationalのCFOを兼務。[7]

2011年 JT代表取締役副社長[1] 2016年  副CEO。[2] 2014年 株式会社リクルートホールディングス 社外取締役に就任。

2018年 JT代表取締役退任。株式会社リクルートホールディングス社外取締役退任。

アサヒグループホールディングス株式会社、株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ、株式会社エクサウィザーズ社外取締役役に就任。

2019年 第一生命ホールディングス株式会社、株式会社オープンエイトの社外取締役に就任。

人物・エピソード

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JTでのキャリア初期

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・海外での勤務経験の長い新貝だが、実は英語には苦手意識があり、専売公社という組織の性格上、英語を使わなくても済みそうだと言うのがJTの入社動機だったと後に語っている。[13]

・キャリア初期の貴重なエピソードとして、28歳で経験した3つ目の東京工場ではじめて管理職に抜擢され、約90名の部下を持った当初の経験を挙げている。その際、通常なら工期1年、試運転数カ月ほどの工程を35日間ですべて完了の上、操業を再開させた経験を通じて、職場での大きな変化は、前例のない新しいことを始める絶好の機会となることを学んだと述べている。また、この経験を通じて所詮自分だけがいくら頑張っても、一人では何もできないこと、つまるところ、「成果は人を通じてしか出せない」という点に気付き、この考えがその後の仕事観の基本となったことを明かしている。[11]

・なお、昔から変わったアイディアを口に出し、時には実行にも移すことから、工場時代は一時「宇宙人」と呼ばれていた。[11]

米国駐在~RJR International 買収・JT Plan-V

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・米国時代に米国製薬・バイオベンチャーとの数々の共同研究開発提携を推進した。2015年時点で有しているハードスキルは、全てその際独学で身につけたものだと新貝は語っている。[11] また、これらの中で製品化に至ったものは一社との提携だけだが、ロイヤリティだけでも約10億ドルの利益を上げた。また、手掛けた提携で獲得した技術はその後JTに移転され、1993 年より本格的に研究開発を開始した医薬事業に大きく貢献したとされている。[14]

・1999年にJTが買収したRJR International社の買収については、既にその11年前である1988年にJTは買収検討しており、当時新貝もその検討チームの一員だったことを後に明かしている。[15]

・また、後にJTの社長になる小泉光臣と新貝は、共に部長時代、RJR Internationalの買収と言う大きな変化を契機に会社の変革に取り組み、会社利益が右肩上がりの時代に、大きな合理化を伴う中期経営計画JT PLAN-Vの検討プロジェクトを発足。このプロジェクト発足には多くの役員の反対があったと言う。[16] このJT PLAN-Vなくしてギャラハー買収はなかったと新貝は語っている。[17]

英国ギャラハー買収へ

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・2006年12月にJTが発表した業界第五位のグローバルたばこ企業ギャラハー社の買収を、計画段階から買収交渉、統合に至るまでハンズオンで手掛けた。[17]

・海外大型M&A後の経営成功の秘訣として、適切なガバナンスを前提とした任せる経営を新貝は挙げている。適切なガバナンスには、会社の価値規範とルールによるガバナンスを挙げ、ルールによるカバナンスでは、責任権限規程の明確化、徹底した経営の見える化(意思決定の見える化、情報の見える化)の重要性を説いている。[17]

JT代表取締役副社長時代

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・JT代表取締役副社長時代のインタビューでは、長い歴史を重ねている企業では、その時代を任されている経営者は会社を「預かり物」だと思って経営しており、預かった期間にきちんと責任を果たし、将来にさらに意味のあるようなことを自分が付加して、次世代にバトンタッチしていくものと話している。[18]

その他

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・子供の頃、NHK放送児童合唱団に所属、数々のオペラに出演。中学時代には2,000名の応募があったオーディションを勝ち抜き、ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」で7名の子役の一人として、梅田コマ劇場の舞台に立っている。その時の主演女優 越路吹雪さんについて、「大女優なのに、裏方さんにも、ものすごく親切。だからみんながこの人を助けようと思うんだなぁ。」と子供心に感銘を受けたと振り返っている。[15]

・高校三年生まで、本気でオペラ歌手になろうか迷っていたが、英語が苦手だったことからイタリア語・ドイツ語ではとても歌えないと、その道を諦めた。[15]

発言

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・前例がないからやってみよう。[11]

・変化はチャンス。[11]

・大事なのは、自分で課題を発掘し、それを解決していく姿勢。すなわち主体性をもって行動し、会社を変えていき、その中で自らもさらに変えていくこと。[11]

・成果は人を通じてしか出せない。[11]

・有事は集中。[17]

・自らの将来は自らが拓く。[17]

・関心なくして敬意なし、敬意なくして信頼なし、信頼なくして協働なし。[17]

著書

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・「JTのM&A」日本企業が世界企業に飛躍する教科書 日経BP社 ISBN978-4-8222-5094-2 C2034 (2015年出版)

・同氏のM&Aについての考え方は、その著書「JTのM&A」に詳しいが、オンラインでもその主張をうかがい知ることができる。[19]

脚注

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  1. ^ a b c 日本たばこ産業株式会社 第27期 有価証券報告書
  2. ^ a b 日本たばこ産業株式会社 プレスリリース 2015年11月27日
  3. ^ アサヒグループホールディングス株式会社 第94期 有価証券報告書
  4. ^ 株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ 第13期 有価証券報告書
  5. ^ 第一生命ホールディングス株式会社 第117期 有価証券報告書
  6. ^ 株式会社エクサウィザーズ プレスリリース 2018年6月28日
  7. ^ a b c d 株式会社オープンエイト プレスリリース 2019年6月27日
  8. ^ ベンチャーキャピタルANRI プレスリリース 2019年7月1日
  9. ^ 日本たばこ産業株式会社 プレスリリース 2011年5月12日
  10. ^ 経営者と指揮者のグローバリゼーション”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2011年1月19日). 2019年12月31日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h 一条, 和生, 1958- (2015.6). リーダーシップの哲学 = The Leadership Journey : 12人の経営者に学ぶリーダーの育ち方. Toyokeizaishinposha. ISBN 978-4-492-53361-1. OCLC 918880954. http://worldcat.org/oclc/918880954 
  12. ^ UPDATE2: JTが英ギャラハーの買収手続き開始、日本企業による買収で過去最大」『Reuters』2006年12月15日。2019年12月31日閲覧。
  13. ^ プレジデント社 (2014年). 月刊プレジデント  2014年6月2日号. 
  14. ^ リクルートワークス研究所 (2010.Dec - 2011.Jan). 雑誌Works Vol.103. 
  15. ^ a b c 東洋経済新報社 (2014年). 週刊東洋経済 2014年6月7日号. 
  16. ^ ニューズレター | みさき投資株式会社”. www.misaki-capital.com. 2019年12月31日閲覧。
  17. ^ a b c d e f Shingai, Yasushi.; 新貝康司. (2015). JT no M & A : Nihon kigyō ga sekai kigyō ni hiyakusuru kyōkasho (Dai 1-han ed.). [Tōkyō]: Nikkei BP Sha. ISBN 978-4-8222-5094-2. OCLC 911261264. https://www.worldcat.org/oclc/911261264 
  18. ^ JT・新貝康司副社長に聞く長寿経営の秘訣「自分の時代に成果が出なくても、後進のためにリスクを負って実行する」”. ダイヤモンドオンライン. 2016年7月21日閲覧。
  19. ^ シナジーを最大化するJTのM&A - Executive Foresight Online:日立”. www.foresight.ext.hitachi.co.jp. 2019年12月31日閲覧。