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ミナミオロシザメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミナミオロシザメ
保全状況評価[1]
NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
亜綱 : 板鰓亜綱 Elasmobranchii
: ツノザメ目 Squaliformes
: オロシザメ科 Oxynotidae
: オロシザメ属 Oxynotus
: ミナミオロシザメ O. bruniensis
学名
Oxynotus bruniensis
(J. D. Ogilby, 1893)
シノニム

Centrina bruniensis J. D. Ogilby, 1893

英名
Prickly dogfish
分布

ミナミオロシザメ(Oxynotus bruniensis)はオロシザメ科に属するサメの一種。オーストラリアニュージーランド温帯域に生息する。75cmに達し、体色は茶-灰色、体は太く大きなこぶを持ち、皮膚は非常に粗い。2つの背鰭は接近しており大きい。

大陸棚縁・大陸斜面海底近くに生息、ゆっくり動き回り小さな底生生物捕食すると考えられる。無胎盤性胎生で産仔数7。稀に底引き網混獲されるが、IUCNは情報不足としている。

分類

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オーストラリアの魚類学者James Douglas Ogilbyによって、タスマニア南東沖のブルニー島砂浜で発見された個体の乾燥標本に基づいて記載された。1893年に科学誌Records of the Australian Museumに発表され、Tasmanian Museum and Art GalleryキュレーターAlex Mortonの要請により、模式標本産地に基づいてCentrina bruniensisと命名された[2]。その後Centrina属はOxynotus属のシノニムとされた[3]

分布

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温帯性の稀種であり、ニューサウスウェールズ州Crowdy Headからタスマニア南部沿岸、西オーストラリア州エスペランスまで分布する。また、ニュージーランド沖・チャタム海膨チャレンジャー海台キャンベル海台でも見られる[1][4]大陸棚外縁、上部大陸斜面の海底に生息。深度45-1067mで報告されているが、通常は350-650mに生息する[3][4]

形態

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背中のこぶと長い背鰭が特徴

非常に太い体と盛り上がった背で容易に識別できる。頭は少し平たく、丸く短い吻がある。鼻孔は大きく、間隔は狭い。眼の直後には小さく丸い噴水孔がある。口は真横方向で比較的小さく、口角から始まる深い溝に囲まれている。唇は非常に厚く、乳頭突起を持つ[3][4]。歯列数は上顎で12-19、下顎で11-13[4][5]。上顎歯は小さく、細く直立した咬頭があるが、下顎歯は大きく、幅広い三角形でナイフ状の咬頭がある。鰓裂は5対[3]

体断面はほぼ三角形。2つの背鰭は大きな三角形で、頂点は帆に似る。背鰭の前部は肉質で、棘が埋め込まれて先端が突き出す。第一背鰭は鰓裂の上、胸鰭の前から始まり棘は前傾する。第二背鰭はそれより小さく、第一背鰭との間隔は第二背鰭の基底より短い[3][5]腹鰭は第二背鰭の直下に位置し、それより小さい。腹部の胸鰭-腹鰭間にかけて、1対の太い隆起が走る。臀鰭はない。尾鰭は大きく、上葉の先端近くに切欠きがある。皮膚は細いナイフ状の先端を持つ大きな皮歯に覆われ、非常に粗い。体色は一様な茶-灰色で、胸鰭・腹鰭の後縁は半透明。最低でも75cm、おそらく91cmまでは成長する[3][4]

生態

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巨大な肝臓に大量の肝油を蓄えているため、海底から浮きながらゆっくり泳ぐことができる。餌は非常に専門化されていて、全頭亜綱のみとされている[6]。無胎盤性胎生。捕獲個体によると卵巣は7-8個の成熟卵を含み、ある個体の子宮内には7つのがあった。出生時は約24cm。雄は55-60cm、雌は67cm以上で性成熟する[1]単生類Asthenocotyle taranakiensis寄生することが知られている[7]

人との関連

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底引き網で時折混獲されるが、おそらく廃棄されている[3]。一時期より混獲数は減少していると見られるが、IUCNは情報不足としている[1][4]

出典

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  1. ^ a b c d Francis, M.P. (2003). "Oxynotus bruniensis". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4. International Union for Conservation of Nature. 2010年12月13日閲覧
  2. ^ Ogilby, J.D. (1893). “Description of a new shark from the Tasmanian coast”. Records of the Australian Museum 2 (5): 62–63. 
  3. ^ a b c d e f g Compagno, L.J.V. (1984). Sharks of the World: An Annotated and Illustrated Catalogue of Shark Species Known to Date. Rome: Food and Agricultural Organization. pp. 125. ISBN 9251013845 
  4. ^ a b c d e f Last, P.R. and J.D. Stevens (2009). Sharks and Rays of Australia (second ed.). Harvard University Press. p. 97–98. ISBN 0674034112 
  5. ^ a b Yano, K. and K. Matsuura (2002). “A review of the genus Oxynotus (Squaliformes, Oxynotidae)”. Bulletin of the National Science Museum, Tokyo, Series A 28 (2): 109–117. 
  6. ^ B.Finucci,C. Bustamante,E.G.Jones and M.R.Dunnr (September, 2016). “Reproductive biology and feeding habits of the prickly dogfish Oxynotus bruniensis”. Wiley Online Libraryl. 
  7. ^ Beverley-Burton, M., G.J. Klassen and R.J.G. Lester (April, 1987). “Generic diagnosis of Asthenocotyle Robinson, 1961 (Monogenea: Microbothriidae) and description of Asthenocotyle taranakiensis new species from Oxynotus bruniensis (Oxynotidae) taken in New Zealand waters”. International Journal for Parasitology 17 (4): 965–969.