プロテクター (映画)
プロテクター | |
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The protector 威龍猛探 | |
監督 |
ジェームズ・グリッケンハウス ジャッキー・チェン(改訂版) |
脚本 | ジェームズ・グリッケンハウス |
製作 | デヴィッド・チャン |
製作総指揮 | レイモンド・チョウ |
出演者 |
ジャッキー・チェン ダニー・アイエロ |
音楽 | ケン・ソーン |
撮影 | マーク・アーウィン |
配給 |
ゴールデン・ハーベスト ワーナー・ブラザース 東宝東和 |
公開 |
1985年7月11日[1] 1985年6月15日[1] 1985年8月23日[1] |
上映時間 |
(オリジナル版)95分 (改訂版)96分 |
製作国 |
イギリス領香港 アメリカ合衆国 |
言語 |
英語 広東語 |
『プロテクター』(原題:The Protector、香港原題:威龍猛探)は、1985年製作のアメリカ・香港合作映画。ジャッキー・チェン主演、ジェームズ・グリッケンハウス監督。
概要
[編集]『バトルクリーク・ブロー』でアメリカで初進出したジャッキー・チェンが引き続いて主演した、アメリカ映画第2弾。香港のゴールデン・ハーベスト社とワーナー・ブラザースの合作として製作された。
ストーリー
[編集]強盗団との戦いで相棒を失ったばかりのニューヨーク市警の刑事ビリー(ジャッキー・チェン)は、あるファッションショーの警備を担当するが、ショー主宰者の娘ローラ(ソーン・エリス)が何者かに誘拐され、香港へ連れ去られてしまった。
ビリーは新しい相棒ガローニ(ダニー・アイエロ)と共に香港へ派遣されるが、香港の署長は二人に冷淡で協力が得られない。勝手に捜査を進めるビリーたちは、ローラをさらったのが香港マフィアのボス、コウであることを突き止める。
やがてビリーはローラを救出するも、入れ替わりにガローニが敵の手に落ちてしまった。
キャスト
[編集]役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
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フジテレビ版 | ソフト版 | ||
ビリー・ウォン | ジャッキー・チェン | 石丸博也 | |
ダニー・ガローニ | ダニー・アイエロ | 青野武 | 玄田哲章 |
ローラ・シャピロ | ソーン・エリス | 達依久子 | 本田貴子 |
ハロルド・コー | ロイ・チャオ | 笹岡繁蔵 | 池田勝 |
サリー | サリー・イップ | 潘恵子 | |
ソー・リン | ムーン・リー | 弘中くみ子 | 榊原奈緒子 |
スタン・ジョーンズ | キム・バス | 竹村拓 | |
ベニー・ガルーチ | ビル・ウォレス | 徳丸完 | 田中正彦 |
ホワイトヘッド署長 | リチャード・クラーク | 大木民夫 | 田原アルノ |
リー・ヒン | ピーター・ヤン | 藤本譲 | 仲野裕 |
本部長 | ローナン・オケイシー | 北村弘一 | 広瀬正志 |
ボブ・カントレル | ロン・パラディ | 仲木隆司 | 相沢まさき |
マイクル・アレクサンダー | パトリック・ジェームズ・クラーク | 大滝進矢 | |
コーの側近 | デビッド・ホー | 真実一路 | |
署長 | ビクター・アーノルド | 阪脩 |
- ソフト版:DVD、BD収録 NETFLIX配信
- 演出:市来満 制作:寺田剛(アウラ)栗林秀人(くりぷろ)
- 吹替制作スタジオ:スタジオザウルス
- ※グリッケンハウス版で制作。
スタッフ
[編集]- 監督・原案:ジェームズ・グリッケンハウス
- 脚本:エドワード・タン
- アクション監修:成家班
- 音楽:ケン・ソーン
- 製作総指揮:レイモンド・チョウ
- 製作:デヴィッド・チャン、レナード・ホー
- 製作会社:ゴールデン・ハーベスト、ワーナー・ブラザーズ
作品解説
[編集]グリッケンハウス版とジャッキー版
[編集]『ダーティハリー』のような作品を意図していたジェームズ・グリッケンハウス監督とジャッキー・チェンは撮影中から相当に反発し合っており、特にアクション関係の演出について2人は決定的に意見が食い違っていた[2]。このため作品の出来に不満なジャッキーが制作元のワーナーに詰め寄り、最終的にアジア圏で公開するバージョンについてはジャッキーが監督として修正を入れることを承諾させる。この行動に、ゴールデン・ハーベスト側のレイモンド・チョウ社長はワーナー社との契約違反となることを危惧したが、最終的には改訂のための費用は全てジャッキーが個人で捻出し、ジャッキー自身の責任において行うことで目をつぶっている。
作品の改訂権を得たジャッキーは直ちに脚本の改訂を行い、出演者たちを再び集め、さらには新たな登場人物(サリーなど)を追加し、ほとんどのアクションシーンをジャッキーが監督して撮り直しを行い、グリッケンハウスが完成させたものと差し替えを行った。さらに改定前には存在しなかった、サリーを訪ねて行った先のスポーツジムでのアクションや、リーが襲撃された時の戦闘シーンなど新規のものが追加された。そしてジャッキーが「自分の作品に相応しくない」として、ダーティハリー風に口汚く罵るような台詞のシーンなどを悉くカットし、敵の秘密工場で働いているシーンでは、働いているのを全裸の女性工員から白衣の男に変更して撮り直している。こうして本作には、欧米圏で公開されたオリジナル版(グリッケンハウス版)と、東南アジア圏で公開されたジャッキー版の2種類が存在することになった。
結果としては、オリジナル版はジャッキー本人にとっては大変不満なできあがりでアクションカットも平凡な作りだが、アメリカ映画として見るならば統一感のある作品に仕上がっており、ジャッキー版はアクションシーンは見事なリテイクとなっているものの、グリッケンハウスとジャッキーの演出が混合し、さらに英語音声(オリジナル版から残ったシーン)と広東語音声(ジャッキーがリテイクしたシーン)が混在するなど、継ぎ接ぎで作られた印象が強い。[要出典]
本作のビデオやDVDソフトについて、オリジナル版はアメリカを中心にソフト化されているが、それ以外の国では主にジャッキー版を発売している。オリジナル版の発売国は少なく、レアな作品としてかえってジャッキーのマニアにとっては支持の多い珍品となった。[要出典]
エンディングのNGシーンも日本独自のものになっている。
- 本作は、1981年の時点で企画され1982年には撮影開始予定だったが「プロジェクトA」制作のため一旦企画中止。1984年になり撮影が開始され、ジャッキーは9月17日にニューヨークへ。約1ヶ月半後の10月16日に撮影を終えて香港へ戻り、再び香港で12月まで追加撮影した。
- ヘリコプターのシーンでは、4000フィートのフィルムが消費され、このシーンだけで約50万ドル(約1億2000万円)もの製作費が投入された。
- アメリカロケではニューヨーク市が全面協力し、悪名高いサウスブロンクスのロケの時には「パンクス」と呼ばれる街のアウトローたちがビールだけのギャラで友情出演した。
- 香港ロケでも皇家香港警察が全面協力し、数百人の警察隊が協力。クライマックスの武装ヘリのシーンでは3機のヘリコプターが完全に大破してしまった。
日本で発売されたDVD
[編集]スパイク版
[編集]ジャッキー版。87分(PAL早送り)。広東語5.1ch、北京語5.1ch。4:3レターボックス、ビスタサイズ。オリジナル予告編、サイクロンZ、スパルタンX予告編収録。片面1層。
ユニバーサル版
[編集]「成龍 ジャッキー・チェン アクション・ヒストリーDVD-BOX」内のみ収録。
グリッケンハウス版。95分。英語ドルビー6.1ch、dts-ES。16:9ビスタサイズ。オリジナル、最新版、日本版予告編収録。デジタル・リマスター版。片面2層。
脚注
[編集]- ^ a b c デアゴスティーニ(2014年)目次頁
- ^ 『I AM JACKIE CHAN―僕はジャッキー・チェン 初めて語られる香港帝王の素顔』 近代映画社