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フォード・スコーピオ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フォード・スコーピオ
2代目
概要
製造国 ドイツの旗 ドイツ
販売期間 1985年1998年
ボディ
ボディタイプ 4ドアセダン
5ドアハッチバック
5ドアステーションワゴン
3ドア霊柩車
駆動方式 FR/4WD
系譜
先代 フォード・グラナダ
後継 フォード・モンデオ
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スコーピオ (Scorpio )は、フォードが製造・販売していた自動車である。

初代 (1985年-1994年)

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フォード・スコーピオ(初代)
1989-1992年モデル
概要
製造国 ドイツの旗 ドイツケルン
販売期間 1985年1994年(生産終了)
デザイン ウーヴェ・バーンセン
ジェイムズ・ケリー
ボディ
ボディタイプ 4ドアセダン
5ドアハッチバック
5ドアステーションワゴン
駆動方式 後輪駆動/四輪駆動
プラットフォーム フォード・DE-1プラットフォーム
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.8 L Pinto SOHC 直列4気筒
2.0 L Pinto SOHC 直列4気筒
2.0 L Ford DOHC 直列4気筒
2.4 L Cologne OHV V型6気筒
2.8 L Cologne OHV V型6気筒
2.9 L Cologne OHV V型6気筒
2.9 L Cosworth BOA DOHC V型6気筒
ディーゼル:
2.5 L Peugeot XD3 OHV 直列4気筒
2.5 L Peugeot XD3T OHV ターボ 直列4気筒
2.5 L VM 425 OHV ターボ 直列4気筒
変速機 5速MTタイプ9
5速MT(MT75
4速ATA4LD
車両寸法
ホイールベース 2,761 mm
全長 4,673 mm(ハッチバック)
4,744 mm(セダン、ワゴン)
全幅 1,760 mm
全高 1,440 mm
車両重量 1,380 kg
系譜
先代 フォード・グラナダ
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シエラをベースに開発され、シエラのフロアパン(床構造)を引き伸ばしたものを使用し、スタイリングもシエラやエスコートと似通ったデザインとなった。搭載されるエンジンは排気量1.8Lと2.0Lの直列4気筒ピント・エンジン(Pinto engine )と、2.4L(後に2.8L、2.9Lと拡大)のV型6気筒ケルン・エンジン(Cologne engine )。1989年にピント・エンジンは廃止され、代替として2.0L 8バルブDOHCエンジンが搭載された。

1986年度にはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

スコーピオは、ヨーロッパ市場において高級車とされるメルセデス・ベンツBMWに対抗しうるフォードの上級車種として開発された。フォードはすでに前モデルであるグラナダ MkIIで、広範囲に渡る各種装備(ヒーター付電動レザーシート、エアコン、電動サンルーフ、トリップ・コンピューターなど)を充実させていたが、このスコーピオでは欧州フォード初となる熱線ウインドスクリーン、クルーズコントロール四輪駆動などが新たに採用された。シートは背もたれのホールド感に欠けるのが多少評価を落としつつも、非常に乗り心地が良く後部座席の足元の空間も広かったが、頭上の空間は極めて狭かった。また、ヨーロッパの量産車としては初めて全グレードに標準でABSを装備した車種である。

グラナダとは異なり当初はセダンエステートはなく、ハッチバックボディのみの設定だった。1990年にセダンが追加され、1992年にエステートが追加された。技術面でのマイナーチェンジは少なかったが、1989年にはDOHCエンジンを搭載し、翌1990年には2.9 L 24バルブDOHCのコスワース製V6エンジンを搭載したスコーピオ・コスワースが追加された。

下級車種のシエラに対してスコーピオのコスワース製エンジンを搭載するエンジンスワップの事例も多く見られ、200bhpオーバーの出力を手に入れる安価で簡単な手法として人気を博した。これらのエンジンの中にはターボチャージャーを装着したものもあり、モータースポーツでも使用された。

なお、イギリスでは当モデルは先代と同じグラナダの名で販売された(→フォード・グラナダ#3代目も参照)[1]

また、北米では独自の「メルクール」ブランドを付けてメルクール・スコーピオとして、1986年(1987年モデル)から1989年にブランド自体が廃止されるまで、リンカーン・マーキュリーのディーラーを通じて販売された(→メルクールも参照)。

2代目 (1994年-1998年)

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フォード・スコーピオ(2代目)
概要
販売期間 1994年1998年(生産終了)
ボディ
ボディタイプ 4ドアセダン
5ドアステーションワゴン
3ドア霊柩車
駆動方式 後輪駆動
パワートレイン
エンジン ガソリン:
2.0 L NSD 8バルブ 直列4気筒
2.0 L N3A 16バルブ 直列4気筒
2.3 L Y5A/Y5B 16バルブ 直列4気筒
2.9 L BRG 12バルブ V型6気筒
2.9 L BOB (Cosworth) 24バルブ V型6気筒
ディーゼル:
2.5 L SCD TD 直列4気筒
変速機 4速AT
5速MT
車両寸法
ホイールベース 2,770 mm
全長 4,825 mm
4,826 mm (ワゴン)
全幅 1,760 mm
全高 1,388 mm
1,442 mm (ワゴン)
車両重量 1,577 kg
系譜
後継 フォード・モンデオ
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2代目のボディタイプはセダンとステーションワゴンのみとなり、初代とほとんど同じフロアパンと初代の最終生産期に搭載されていたものと同じエンジンを使用していた。サスペンションと操縦性に多くの改善(エステートでのセルフレベリング後輪サスペンションを含む)が図られ、内装と外装には革新的と言えるほどの変更が施されていた。

内装では新しい肘掛け椅子型のシートと品質が改善されたが、新しい外観は物議を醸した。ヘッドライトは紡錘形で、テールライトバンパーのすぐ上に薄い線状に配されていた。

ジェレミー・クラークソンは、当時のタイムズ紙上で本車を「路上で最も醜い車」と評している。また、スニッフ・ペトロール(Sniff Petrol )の執筆者のリチャード・ポーター(Richard Porter )は、2004年の書籍『駄作車』(Crap Cars )の中で本車を外観の部で50台中49位に挙げている。

1998年初頭、顔つきをおとなしく見せるためにヘッドライト回りを暗く隈取りされグリルを微妙に変更するフェイスリフトを実施した。テールライトも車体後端が膨れて見えないように変更された。これがスコーピオに実施された最後の改良となり、1998年夏に生産を終了したが、その後も在庫販売は2年続いた。

当時のヨーロッパの自動車市場は、高所得者は高性能な大型ファミリーカー、所帯を持つ者はミニバンと対極化しており、スコーピオの後継モデルを出すには程遠い状況であった。他のメーカーも同様の状況から、ボクスホール/オペルオメガの後継車を開発せず、本田技研工業レジェンドヨーロッパ市場での販売を取りやめた。さらにローバー・800は、1999年により小型の75に代替された。

グレード

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2.9Lのコスワース製エンジン搭載車はトラクションコントロールシステムクルーズコントロールとAT(MTは無料オプション)が標準装備。その他のエンジン搭載車はMTが標準で、ATは有料オプションであった。

  • ウルティマ(Ultima ) - CDオートチェンジャー、クライメットコントロール、革シート、クルーズコントロール、自動防眩ミラー、電動調節シートなどを装備。
  • 2.0L - バッジなし(2L16バルブのみ "2.0 16v")
  • 2.3L - "2.3" (古い車には "2.3 16v")
  • 2.9L - "2.9" (古い車には "2.9 12v")
  • 2.9L - コスワース製エンジン搭載車は "24v"

車名の由来

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スコーピオは、「さそり座」を意味する。

関連項目

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脚注

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  1. ^ 『自動車アーカイヴVol.17 80年代のイギリス車篇』二玄社、2008年4月21日、71頁。 

外部リンク

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