カプリッチョ (美術)
カプリッチョ(capriccio、複数形:capricci)とは、実在の建物、古代遺跡、それに架空の遺跡をまぜこぜにした風景画のこと。人物が描かれることもある。奇想画(きそうが)とも訳される。
歴史
[編集]カプリッチョのパイオニアは、17世紀中期にローマで活躍したアレッサンドロ・サルーチやヴィヴィアノ・コダッツィと言われる。サルーチはコンポジションの素材としてローマ遺跡を配置することで創造性と自由を求めたが、コダッツィはもっと現実的で[1] 、アゴスティーノ・タッシのクアドラトゥーラなフレスコ画やクロード・ロラン、ヘルマン・ファン・スワーネフェルトの都市景観画を見て影響されたのかもしれない[2]。
カプリッチョを提唱したことで知られるのがジョバンニ・パオロ・パンニーニで、そのスタイルは1740年代のカナレットのヴェドゥータを発展させたものだった。ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージとその模倣者の作品もまた有名である。
それより後の時代になると、チャールズ・ロバート・コッカレルの『A Tribute to Sir Christopher Wren』『A Professor's Dream』、ジョセフ・ガンディー『1818 Public and Private Buildings Executed by Sir John Soane』がある。
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロは自身のエッチング連作を『カプリッチ(Capricci)』と題した。カプリッチョから建築物を減らして、その代わりに兵士、哲学者、美しい若者といった人々の集まりを描いている。それぞれの作品にタイトルはつけられておらず、ムードとスタイルだけがすべてである。このシリーズは後にScherzi di fantasia(幻想的なスケッチ)と呼ばれた。彼の息子ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロは父の絵を模倣し、またタイトルも『カプリッチ』とした。フランシスコ・デ・ゴヤにも『ロス・カプリーチョス』という版画集がある。
代表的な画家
[編集]- アレッサンドロ・サルーチ(英語版)
- ヴィヴィアノ・コダッツィ
- ドメニコ・ガルジューロ(英語版)
- マルコ・リッチ(英語版)
- ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ
- ユベール・ロベール
ギャラリー
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アレッサンドロ・サルーチ『カプリッチョ』(1645年と1660年の間)
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ヴィヴィアノ・コダッツィ『聖家族と建築のカプリッチョ』
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マルコ・リッチ『遺跡のある古典的な景観』
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ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ『カプリッチ』より(1743年 - 1757年、南オーストラリア美術館蔵)
脚注
[編集]- ^ Importante architettura di Alessandro Salucci (Firenze 1590-Roma dopo il 1650) Archived 2016-08-08 at the Wayback Machine. at Antiquares
- ^ Ludovica Trezzani. "Codazzi, Viviano." Grove Art Online. Oxford Art Online. Oxford University Press. Web. 24 Apr. 2016
外部リンク
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