コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

プリンセス・クルーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プリンセス・クルーズ
Princess Cruises
本社
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
サンタクラリタ
設立 1965年
業種 海運業
事業内容 クルーズ客船の所有・運営
代表者 ジャン・スワーツ
従業員数 1,000
外部リンク https://www.princess.com/
テンプレートを表示

プリンセス・クルーズ(Princess Cruises)は、アメリカサンタクラリタに本社を置くクルーズ会社である。以前はP&O Princess Cruisesの子会社であった同社は現在、世界最大のクルーズ船運航会社であるカーニバル・コーポレーションの傘下である。同社はパシフィック・プリンセスが登場したアメリカのラブコメディドラマ「ラブボート」で有名になった。2013年5月、ロイヤル・プリンセスはプリンセスクルーズの旗艦となった。

歴史

[編集]
  • 1965年 - スタンリー・B・マクドナルドがプリンセス・クルーズを設立。プリンセス・パトリシアでメキシコへクルーズを開始。
  • 1967年 - クルーズ専用に建造されたプリンセス・イタリアで初のパナマ運河クルーズを開始。
  • 1968年 - シーウィッチのロゴが初登場。初のアラスカクルーズのシーズンを開始。ナッソーからジェノバまで大西洋横断クルーズを開始。
  • 1974年 - イギリスの海運会社P&Oがプリンセス・クルーズを買収。P&O所有のスピリット・オブ・ロンドンがプリンセス・クルーズに加わりサン・プリンセス(初代)となった。
  • 1977年 - プリンセス・クルーズを舞台にしたテレビ番組「ラブボート」が全米で放送開始。空前の大ヒットとなり、クルーズブームの口火を切る。
  • 1981年 - カリブ海でプライベートアイランドとして開発したパーム島(グレナディーン諸島)に寄港開始。その後、メイルー島(グレナディーン諸島)、エリューセラ島プリンセス・ケイズ(バハマ諸島)にプライベート施設を拡張。
  • 1984年 - 全キャビンが海側に配置された客船、ロイヤル・プリンセス (初代) 就航。
  • 1985年 - パシフィック・プリンセスで地中海クルーズを開始。
  • 1986年 - バンクーバー‐ウィッティア間で、新たにアラスカ・グレーシャー・クルーズを開始。
  • 1987年 - クルーズの前後に陸路でアラスカの大自然を楽しむためのプリンセス・クルーズ専用の宿泊施設「デナリ・プリンセス・ウィルダネス・ロッジ」が営業開始。以後、2002年までに全5カ所の観光拠点をアラスカに建造。この年からカリブ海クルーズ、アジアクルーズ、バルト海クルーズを開始。
  • 1995年 - 当時世界最大のクルーズ客船、サン・プリンセス (二代目) が就航。
  • 1998年 - アイランド・プリンセス(初代)で、ローマからサンフランシスコを64日でまわるプリンセス初のワールドクルーズを実施。当時世界最大のクルーズ客船、グランド・プリンセスが就航。
  • 2000年 - P&Oはクルーズ事業をスピンオフし、別会社P&Oプリンセスクルーズ社(P&O Princess Cruises)を設立[1]
  • 2001年 - P&Oプリンセスクルーズ社の本社をセンチュリーシティーからサンタクラリタに移す[2]
  • 2003年 - P&Oプリンセスクルーズ社はカーニバル・コーポレーションと合併し、その傘下となる[3][4]。合併の結果、カーニバル・コーポレーションは英米両国で登記している企業として、8個のクルーズ船ブランドを運営する企業となった。南極クルーズを開始。
  • 2004年 - 三菱重工長崎造船所で建造されたダイヤモンド・プリンセスサファイア・プリンセスが相次いで就航。
  • 2008年 - エンジンルーム、医療センター、印刷所、クリーニング設備、写真ラボ、ブリッジなど、普段は見られない大型客船の裏側をクルーが案内する「究極の船内ツアー」をクルーズ業界で初めて開始(現在はセキュリティ上の問題で休止)。
  • 2013年 - サン・プリンセスが日本発着クルーズを開始。プリンセス・クルーズ最大の規模を誇る新造船ロイヤル・プリンセス (三代目) が就航。
  • 2014年 - 日本発着クルーズにダイヤモンド・プリンセスを運航。
  • 2017年 - 保有船の船首部分にシーウィッチのロゴを追加。
  • 2020年 - 新型コロナウイルス集団感染による世界的な影響を受け、全船を運休(運航客船における新型コロナウイルス集団感染の項参照)。
  • 2021年 - 一部艦隊で運航再開、2022年に全船復帰となる。
  • 2023年 - 日本発着クルーズにダイヤモンド・プリンセスが復帰。


客船

[編集]

ロイヤル・クラス

[編集]
船名 完成年 造船所 就航年月日 総トン数 船籍 備考
ロイヤル・プリンセス 2013年 フィンカンティエリ 2013年6月16日 - 現在 142,229 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン フラグシップ(旗艦)、3代目
リーガル・プリンセス英語版 2014年 フィンカンティエリ 2014年5月20日 - 現在 142,229 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン 2代目
マジェスティック・プリンセス 2017年 フィンカンティエリ 2017年3月31日 - 現在 143,700 トン イギリスの旗 イギリス・ロンドン 中国語表記で「盛世公主号」
スカイ・プリンセス英語版 2019年 フィンカンティエリ 2019年10月20日 - 現在 145,281 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン 2代目
エンチャンテッド・プリンセス英語版 2020年 フィンカンティエリ 2021年11月10日 - 現在 145,000 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン
ディスカバリー・プリンセス英語版 2022年 フィンカンティエリ 2022年3月27日 - 現在 145,000 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン

ダイヤモンド・クラス

[編集]
船名 完成年 造船所 就航年月日 総トン数 船籍 備考
ダイヤモンド・プリンセス 2004年 三菱重工業 2004年3月13日 - 現在 115,875 トン イギリスの旗 イギリス・ロンドン 2014年に改装
サファイア・プリンセス 2004年 三菱重工業 2004年5月16日 - 現在 115,875 トン イギリスの旗 イギリス・ロンドン 2012年に改装

スーパー・グランド・クラス

[編集]
船名 完成年 造船所 就航年月日 総トン数 船籍 備考
カリビアン・プリンセス 2004年 フィンカンティエリ 2004年4月3日 - 現在 112,894 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン プールサイド・シアターを最初に導入

2017年に改装

クラウン・プリンセス英語版 2006年 フィンカンティエリ 2006年6月14日 - 現在 113,561 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン 2011年に改装、2代目
エメラルド・プリンセス英語版 2007年 フィンカンティエリ 2007年4月11日 - 現在 113,561 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン 2015年に改装
ルビー・プリンセス 2008年 フィンカンティエリ 2008年11月8日 - 現在 113,561 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン 2015年12月に改装

グランド・クラス

[編集]
船名 完成年 造船所 就航年月日 総トン数 船籍 備考
グランド・プリンセス 1998年 フィンカンティエリ 1998年5月26日 - 現在 107,517 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン 就航当時世界最大の客船、2016年12月に改装

コーラル・クラス

[編集]
船名 完成年 造船所 就航年月日 総トン数 船籍 備考
コーラル・プリンセス 2002年 アトランティーク造船所 2003年1月17日 - 現在 91,627 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン パナマックス型、2016年に改装
アイランド・プリンセス 2003年 アトランティーク造船所 2003年7月12日 - 現在 92,822 トン バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島・ハミルトン パナマックス型、2015年に改装、2代目


建造船

[編集]
クラス又は船名 造船所 完成予定年月日 総トン数 船籍 備考
サン・プリンセス フィンカンティエリ 2024年2月 175,000 トン 同社では初となるLNG燃料船[5]
スフィアクラス1番船
スター・プリンセス[6] フィンカンティエリ 2025年 175,000 トン LNG燃料船[5]
スフィアクラス2番船

退役船

[編集]

※ *印は先代

船名 建造年 就航年 総トン数 備考・その後
プリンセス・パトリシア 1949年 1965年 - 1966年 - 1995年に台湾で廃船
プリンセス・イタリア 1967年 1967年 - 1973年 12,263 GRT 2012年に廃船
プリンセス・カーラ 1952年 1968年 - 1970年 20,469 GRT 公式の船名はカーラ・C、1994年に火災で廃船
アイランド・プリンセス 1972年 1972年 - 1999年 19,910 トン 2014年に廃船
サン・プリンセス 1972年 1974年 - 1989年 17,042 トン リンク先は以前の船名、最後はオーシャンドリーム

(ピースボートで使われているオーシャンドリームとは別物)
2016年2月に沈没

パシフィック・プリンセス 1971年 1975年 - 2002年 20,636 トン ドラマ「ラブ・ボート」の舞台船

2013年に解体

シー・プリンセス 1966年 1979年 - 1995年 27,670 トン 2016年3月に廃船
ロイヤル・プリンセス 1984年 1984年 - 2005年 44,348 トン フェニックス・ライゼンにてアルタニアとして運航中
フェア・プリンセス 1956年 1988年 - 1997年 16,627 トン 2005年に廃船
ドーン・プリンセス 1957年 1988年 - 1993年 24,803 トン 2004年に廃船
スカイ・プリンセス 1984年 1988年 - 2000年 46,087 トン 2013年に廃船
スター・プリンセス 1988年 1989年 - 1997年 63,594 トン クルーズ&マリタイム・ボイジャーズにてコロンブス英語版として運航中
クラウン・プリンセス 1990年 1990年 - 2002年 69,845 トン P&Oクルーズ・オーストラリアにてパシフィック・ジュエル英語版として運航中
2019年3月に放出予定
リーガル・プリンセス 1991年 1991年 - 2007年 69,845 トン P&Oクルーズ・オーストラリアにてパシフィック・ドーン英語版として運航中
ゴールデン・プリンセス 1973年 1993年 - 1997年 28,078 トン フレッド・オルセン・クルーズ・ラインにてボウディッカとして運航中
オーシャン・プリンセス 2000年 2000年 - 2002年 77,499 トン P&Oクルーズにてオセアナとして運航中
タヒチアン・プリンセス 1999年 2002年 - 2009年 30,277 トン 2009年より船名をオーシャン・プリンセスへ変更
ロイヤル・プリンセス 2001年 2007年 - 2011年 30,277 トン 2018年よりアザマラ・クラブ・クルーズにてアザマラ・パスート英語版として運航中
オーシャン・プリンセス 1999年 2009年 - 2016年 30,277 トン 2016年4月よりオーシャニア・クルーズにてシィレーナ英語版として運航中
ドーン・プリンセス英語版 1997年 1997年 - 2017年 77,449 トン 2017年5月にP&Oクルーズ・オーストラリアへ移籍、パシフィック・エクスプローラー英語版として運航中
サン・プリンセス 1995年 1995年 - 2020年9月 77,441 トン 就航当時世界最大の客船、2020年9月にジャパングレイス(ピースボート)へ売船、パシフィック・ワールドとして運航中
シー・プリンセス英語版 1998年 1998年 - 2003年・2005年 - 2020年9月 77,499 トン 2003年から2005年までP&Oクルーズのアドニアとして航海、2020年9月に三亜国際クルーズ開発へ売船、チャーミングとして運航中
ゴールデン・プリンセス 2001年 2001年5月 - 2020年10月 108,865 トン 2020年10月にP&Oクルーズ・オーストラリアへ移籍、パシフィック・アドベンチャー英語版として運航中
スター・プリンセス 2002年 2002年3月 - 2020年10月 108,977 トン 2020年10月にP&Oクルーズ・オーストラリアへ移籍、パシフィック・エンカウンター英語版として運航中
パシフィック・プリンセス 1999年 2002年4月 - 2021年1月 30,277 トン 2021年1月にアザマラ・クラブ・クルーズへ売船、アザマラ・オンワード英語版として運航中

プリンセスクルーズ不法投棄問題

[編集]

2017年、アメリカの裁判所から廃油を含む汚水を不法投棄した行為で4,000万ドルの罰金執行猶予5年)命じられたが、プリンセスクルーズは執行猶予中にもかかわらず、バハマ海などでゴミの不法投棄を継続。2019年、裁判所から改めて不法投棄や環境破壊に対して2000万ドルの罰金に加え、査察の受け入れを要求。今後、会社側は環境面でのコンプライアンスの遵守や、使い捨てプラスチックの使用量の削減を行う。これら条件を破った場合、1日あたり100万ドルから1000万ドルの追加の罰金が科される。裁判官は、会社が今後も態度を改めない場合は、カーニバルコーポレーション傘下のクルーズ船をアメリカの港から締め出すと宣告した[7][8]

運航客船における新型コロナウイルス集団感染

[編集]

参考文献

[編集]
  • 海事プレス社『クルーズシップ・コレクション2016-2017』クルーズ4月臨時増刊

出典

[編集]
  1. ^ P&O plan to demerge its cruise division
  2. ^ Princess Cruises Renews Lease | San Fernando Valley Business Journal” (16 August 2011). 2019年2月4日閲覧。
  3. ^ “Carnival cruises towards P&O deal” (英語). (2002年10月25日). http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/2359839.stm 2019年10月30日閲覧。 
  4. ^ Clark, Andrew; correspondent, transport (2002年10月25日). “Carnival wins P&O Princess” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/business/2002/oct/26/2 2019年11月13日閲覧。 
  5. ^ a b 次世代型LNGクルーズ客船2隻を建造へ〜環境面で最も優れた先進燃料技術を採用した客船を新たに発注〜
  6. ^ A Star is Born - Princess Cruises Names Second Sphere Class Ship STAR PRINCESS
  7. ^ 海にゴミを捨てまくる「豪華クルーズ船」企業の呆れた実態”. Forbes japan (2019年6月15日). 2019年7月20日閲覧。
  8. ^ クルーズ船大手カーニバル、海上にプラスチック廃棄物を不法投棄。22億円罰金”. sustainablejapan (2019年6月18日). 2019年7月20日閲覧。

外部リンク

[編集]